生活保護における医療扶助

体調を崩したり怪我をしたりすると病院で診察を受け、薬の処方や治療をしてもらうでしょう。しかしながら、最低限度の生活が送れないため生活保護を受給している人は、医療費を十分に支払えない状態であることがほとんどです。そのため、命に関わることもある医療に関しては医療扶助でお金を負担しましょうということになっています。

医療扶助の内容とは

医療扶助では以下のことを負担してくれることになっています。

・診察

・薬剤または治療材料

・医学的処置や手術、施術

・居宅での療養管理や世話、看護

・入院とそれに伴う世話、看護

・移送

特に難しく考える必要はなく、基本的に病院や薬局でかかる費用を負担してもらえるということです。移送というのは病院や診療所、薬局など医療のために移動する際の交通費のこと。通院するとなると交通費がかさむので、そちらも申請して負担してもらう必要があります。

注意が必要なのは、交通機関の利用を自由にできるわけではないということです。どうしても歩いて行けない場合には一番安い方法を選択しなくてはけません。自宅近くにバス停や駅などがなく、病院は徒歩圏内にない場合などはタクシーを使うことが許可されることもあります。

2つの知っておくべきルール

医療扶助を受けるには知っておいた方がいいルールが2つあります。

・指定医療機関で受診すること

・国民健康保険制度と後期高齢者医療制度は適用されない

通常は体調を崩したり怪我をしたりすると、自分が行きやすい病院や信頼している先生がいる病院を自分で選んで受診することができます。しかし医療扶助を受給している場合はそれが自由にできなくなります。

国で医療扶助を適用することができる医療機関を決めていて、しかもそれが定期的に変更になるのです。病院側が不正に診療代を得ることができないようにという対策と言われています。そのため、指定された医療機関でしか医療扶助は使えず、もしその他の病院などで治療した場合は全額自己負担となってしまうようです。

生活保護を受ける前にかかりつけにしていた病院があったとしても、指定医療機関になっていなければそちらには受診できないのでご注意ください。

また、医療扶助と国民健康保険制度、後期高齢者医療制度の併用はできません。しかし、その2つの制度を使わなくても医療扶助を受けている限り、医療費のことでは基本的に悩むことはないので大丈夫です。

医療扶助の申請方法

医療費を負担してもらうには申請が必要です。まずは各自治体の役所にある福祉課や福祉事務所に相談するところから始めましょう。申請には医療要否意見書というものが必要なのですが、指定医療機関で必要事項に記入してもらわなくてはいけません。1か所の医療機関につき1枚準備しなくてはいけないので、何か所か受診する場合は申請に少し時間がかかってしまうでしょう。

また、医療要否意見書は定期的に提出し直さなくてはいけません。外来での受診の場合は半年に1回記入してもらい提出しましょう。入院する場合はその都度提出が必要なのでお忘れなく。

この医療要否意見書をもとに福祉事務所が審査し、医療扶助の許可を出すか判断します。

医療券を使って受診しよう

審査が通り医療扶助を受けることができることになると、受診時に必要な医療券と薬などの処方に必要な調剤券がもらえます。月ごとに発行されるのですが、医療券に記載されている有効期限をチェックしてから提示しましょう。

また、医療券には指定医療機関の名称が、調剤券には指定調剤薬局の名称が記載されていますので、医療を必要とする場合はそちらの医療機関、調剤薬局に行くことになります。

さらに、必要な場合は柔道整復やはり・きゅう、あん摩などの施術を受けることができます。その場合は医療券の他に、施術券というものが発行されます。治療に何かしらの器具を使わなくてはならない時のために、治療材料券というものもあるので必要が出た際には申請して発行してもらいましょう。

医療扶助で自己負担はゼロになる?

気になるのは医療扶助を使えば自己負担は絶対にゼロになるのかというところです。生活保護を受給しているということはお金に余裕がないということなので、少しでもはみ出すようなことがあると最低限の生活が危ぶまれることがあります。

自己負担は基本的にない

医療扶助を受給できるようになると、病院や調剤薬局などで医療費を支払う必要がなくなります。発行されている医療券や調剤券などを提示するだけでいい現物支給のため、一度負担してから医療費が返還されるわけではないのでとても便利です。

つまり、医療扶助を受けると医療費の自己負担はなくなるということですが、自己負担が発生するケースもあるので注意しなければいけません。

自己負担が発生する4つのケースとは

医療費がかからないはずの医療扶助でも、以下の4つのケースでは医療費の自己負担が発生してしまいます。

・収入が増えるなどして生活保護費を超えた場合

・入院した部屋が大部屋ではなく個室だった場合

・国民健康保険適用外の治療を受けた場合

・指定医療機関以外で受診した場合

収入が生活保護費を超える場合は、はみ出した額のみ扶助費でまかなわれることになっています。そのため、収入が増えた場合などは医療費の自己負担が発生します。

入院時の部屋ですが、生活保護を受給している場合は大部屋にするのが原則です。ただし、やむを得ない事情から個室になることもあるでしょう。その場合は差額ベッド代などが自己負担となってしまいます。

国からの医療費の扶助や補助では、保険適用となったものだけを支給してくれるということが一般的です。医療扶助でも国民健康保険適用内での治療に関してのみの支給となっています。例えば交通事故によって怪我をさせられた場合は保険は使えません。医療扶助費は支給されないので、相手に医療費を出してもらう必要があります。

前述しましたが、医療扶助は指定医療機関でしか使えません。そのため、指定されていない医療機関で治療を受けた場合は全額自己負担となってしまいます。しかも、生活保護受給者は国民健康保険が使えないので10割負担になり、場合によっては高額な医療費を請求されることもあります。

医療扶助のみ受給することはできる?

食費や住居費など他の費用はギリギリ出せるけど、医療費の分は出すほどの余裕がない、という世帯が実は結構あるようです。そういった場合、医療費だけでも扶助してもらえないかと考えるでしょう。実際それが可能なのかご紹介します。

1つの扶助だけ受給する単給が可能

医療扶助だけではないのですが、生活保護では1つの扶助だけを受給する単給ということが可能だそうです。単給では、他の扶助は受給しないため、医療券や調剤券だけ発行してもらい、医療費だけ負担してもらうことになります。

ある程度稼いで収入は得ているけど、治療費がかさむ病気になったりした場合には治療することを我慢せざるを得ないという人もいます。我慢して悪化させ、働くことができなくなったりするよりは、まず福祉課などに相談することをお勧めします。

生活保護の中で最も割合が高いのは医療扶助!

生活保護受給者の中でも半数近くが医療扶助を利用してるというデータがあります。国全体で、医療費にとてもお金がかかっていて、国がお金を負担する医療扶助の存在は財政を圧迫してしまっているとのこと。

それではどうして医療扶助を受給している割合が高くなっているのか見てみましょう。

どうして医療扶助の割合が高くなるの?

医療扶助を受けることになった人の多くは病気や怪我、障害などの理由から収入が十分に得られなくなったなどの事情があります。そのため、生活扶助を受給していない世帯よりも医療を必要としていることが多いのです。

また、前述しましたが、医療扶助では国民健康保険や後期高齢者医療制度は利用できません。当然その分医療扶助の割合が高くなります。

主に以上の2つの理由から医療扶助の割合が大半を占めることにつながっているようです。

対策としてジェネリック医薬品の使用が原則に

ジェネリック医薬品とは、特許権が切れた新薬と同じ成分で作られた薬のことです。新薬の3~7割くらいの価格で手に入るため、調剤薬局でジェネリック医薬品があればそちらを希望しますか?と聞かれることがあります。

医療扶助を受けている人は原則としてジェネリック医薬品を使用することになっていて、それが医療扶助の負担軽減につながると言われています。効果は新薬とほぼ変わりなく、安全を証明されたものではあるのですが、新薬よりも劣っていたり安全ではなかったりするのではないかと疑う声が多いです。

通常では新薬、ジェネリック医薬品の2つから選べる自由というものが、医療扶助を受けることでなくなってしまうというデメリットはあります。でもこれは医療費の負担を軽くするための対策なので、それを踏まえた上で受給するといいでしょう。