結論から言うと、自己破産の申請中でも生活保護は受けられますし、

生活保護の申請中でも自己破産はできます。

自己破産というのは、借金が膨れ上がり返済できない状態に陥った人が、その返済を免除してもらう制度のこと。生活保護は金銭的に苦しく最低限度の生活が送れない人が、扶助を受けて生活できるようにする制度です。この2つは、金銭的な問題を解決するという点がとてもよく似ています。

自己破産することになった人は生活が苦しい状態になっていることが多いですし、生活保護を受け始めたけど借金が残っている人も中にはいます。そのため、どちらかの制度を利用していても併用することが可能となっているのです。

生活保護と自己破産、どちらの申請が先?

生活保護と自己破産の申請はどちらが先の方がいいのでしょうか。

考えられるパターンは3つあります。

  1. 生活保護の申請中に自己破産する
  2. 生活保護受給中(申請完了後)に自己破産する
  3. 生活保護申請前に自己破産する

それぞれのパターンではどうなるのか見ていきましょう。

生活保護の申請中に自己破産する

実は、誰でも生活保護の申請はできることになっています。ただし、その申請が通るかは収入や現在の生活状況によるのです。

申請をする時に、「借金がある」と申告すると、自己破産を勧められることがあるでしょう。生活保護の申請自体は、役所が拒否することはできないのですが、実際は「借金をなくしてから申請して」と断られるようです。

もし生活が苦しいのが借金のせいだけなら、生活保護の申請をしても受給不可となりますし、生活保護を受給し始めてから、生活保護費で借金返済をされては困るので申請前にそのような説明をされるでしょう。その場合はまずは自己破産だけ申請し、生活保護を受けずに生活していくのが適切です。それでも最低限度の生活を維持できないようなら、もう一度生活保護の相談をしてみるとよいでしょう。

しかし、自己破産しても収入が得られていないため、生活が苦しいのは変わらないということもあります。その際に、生活保護の申請を先に進めてから自己破産したいと考える人もいるでしょう。

役所では、受給の前に自己破産を先にしてほしいと言われることが多いですが、事情を話し、自己破産の手続きもしっかりする予定だと伝えれば、生活保護の申請を受理してもらえる場合があるようです。

生活保護受給中(申請完了後)に自己破産する

このケースでは、以下の背景があると考えられます。

  • 生活保護の申請をする際に、後から自己破産の手続きもする予定だと伝えるなどして、先に生活保護を受給し始めた。
  • 生活保護の申請時に、借金があることを隠してしまった。

前者は役所で事情が分かっているので特に問題はありませんが、後者だと最悪の場合、生活保護を打ち切られたり、今まで受け取った生活保護費の返還を求められたりする可能性があります。

「こっそり自己破産すればいい」と考える人もいますが、実は自己破産すると官報に載るため

確実にバレてしまう

のです。心配であれば、弁護士に相談するのがよいでしょう。

生活保護申請前に自己破産する

自己破産を先にしていても、生活保護が必ずしも受給できるようになるとは限りません。

生活保護は、金銭的に困っている人が最低限度の生活を送るために受給するものです。

自己破産しても収入がそれまで通りあるのであれば、今まで借金返済に充てていた分も生活費に回せるようになるため、最低限度の生活が送れない状態になるとは断言できません。

もし自己破産しても生活が苦しいのであれば、生活保護の受給は可能であると言えますし、ひとまず自力で生活ができるようなら、生活保護の申請はあきらめた方がいいでしょう。

生活保護費って借金返済にあててもいいの?

生活保護を受給していて、少し切り詰めて借金返済をしようと考えたり、実行したりする人がいるようです。実際、生活保護費は借金を返すために使ってもいいのでしょうか?

借金を返す目的ではないから絶対にダメ

生活保護費は、最低限度の生活をするためのお金です。生活費や医療費など、決まった目的以外に使うことは許されません。

受け取った生活保護費で借金を返済することは、法律違反となってしまいますし、生活保護を打ち切られたり、不正受給とみなされ返還を求められることにもつながります。

生活保護を受けるなら自己破産するのがベスト

もう借金返済が不可能だ!生活ができない!と頭を抱えてしまう状況にまで陥ったのなら、生活保護を受けつつ自己破産してしまいましょう。

借金額が少ないから自己破産まではしなくていいかもしれないと考える人もいますが、生活保護を受け始めると借金返済をしている余裕はありません。

生活保護受給者は返済能力がないと考えられているため、借金が少額でも自己破産は可能なのです。取り返しがつかなくなる前に相談、手続きをすることをおすすめします。

もし自己破産せずに借金返済したらどんなリスクがある?

生活保護を受給していて、それでも自己破産しないことには以下のようなリスクがあります。

  • 借金返済が追いつかなくなり、裁判をかけられる
  • 最悪の場合、生活保護を打ち切られる

少ない金額でやりくりして生活しなくてはいけないので、借金返済がうまくできず滞ることがあります。そうなると金融会社などから督促や取り立てが行われ、それでも返済ができなければ裁判になることも。精神的にかなり負担になりますので、返済できないと早めに気づくことが大事です。

先ほど、生活保護費で借金返済するのはNGだとお伝えしました。最初は「返済には充てないでくださいね」と忠告されたり、自己破産するように促されたりします。それでも改善しないようであれば、生活保護を打ち切られることになるでしょう。

生活保護受給者でも借金の督促や差し押さえはされてしまう?

通常、借金をして返済が遅れると、すぐに金融業者から電話がかかってきたりハガキが届いたりします。いわゆる督促です。そして督促を無視し続け、裁判にかけられるところまでいくと、最悪差し押さえされることになります。

生活保護受給者でもその流れは一緒です。金融業者からしたら、貸したお金を返してもらわなければ困るから当然のことでしょう。ただし、生活保護受給費は差し押さえできませんし、それ以外を差し押さえたとしても収入がないことが多いため意味がないことも。

それでも、形式的には督促や差し押さえなどをすることは可能です。生活保護費で返済しない限り受給者は困ることはまずないですが、裁判沙汰になるのは嫌だとか、差し押さえされるのは避けたいだとか思うようなら、早急に自己破産してしまうのがいいでしょう。

生活保護受給中に新たな借金は可能?

可能か不可能かと言ったら、可能ではあります。ただ、

おすすめはできません。

やはり返済能力がないので、借金した時はよくても後々自分を苦しめることになるからです。どうせ生活保護受給者からはお金を取れないだろうと高を括って借金すると、返す気もないのに借りたと判断され、詐欺だと訴えられることもあります。

また、「生活保護を受給しているのだから借金はしないでくださいね!」と役所で念を押されることもあるようです。

そこまで言われているのに、新たに借金をするメリットは果たしてあるでしょうか?

自己破産するまでの流れ

何からしたらいいのか、どんなふうに自己破産までに至るのか流れを確認しておきましょう。

弁護士に相談・依頼する

今の生活の状態や自分の意思などを弁護士に話し、自己破産できるかどうか相談しましょう。

できると判断されれば、そのまま依頼して任せると安心です。

裁判所に自己破産の申し立てをする

申し立てをすると言っても弁護士が手続きしてくれるので、何か自分で難しいことをする必要はありません。

自己破産できるように裁判所にお願いしてくれるんだな、くらいの気持ちでいればいいでしょう。

審尋がある

申し立てを受けた裁判所が、金融業者や申立人に意見を聞くのがこの審尋です。申し立てから1、2ヵ月の間に金融業者の話を聞き、その後申立人に返済できない状況なのか話を聞くことになっています。

ただし、これも弁護士が代理人として動いてくれるので心配はいりません。

同時廃止事件か管財事件になる

事件というと不安に思うかもしれませんが、そういう名称なだけなのでご安心を。同時廃止事件というのは、本当に財産がないのか調査し、ないと分かった時点で財産があるのか調査する権利をなくし、破産の手続きをすることを言います。

管財事件は財産が残っている場合、それを使って金融業者への返済に充てることを言います。

免責許可申し立てをする

これが自己破産手続きの要です。

この申し立てによって、返済の免責をしてもらうことができます。

免責審尋がある

こちらは、申し立てた本人が直接質問を受けなくてはいけません。最初は弁護士やお金を貸した人たち、そして財産があるか調べた管財人が集まって面接します。

その後、免責に関する質問をするために本人が呼ばれるので、その際はしっかりと受け答えをしましょう。

免責許可の通知を受ける

質問を受けてから2週間ほどで、許可が下りたかどうかの通知が届きます。

生活保護を受給しなくては生活できないような状態であれば、たいていは許可が下りるでしょう。